青葉山登頂記
京都府と福井県境にそびえる標高693mの青葉山。
この山頂付近にしか自生しないと言うオオキンレイカ(大金鈴花)が咲き始めたようです。
地元住民としては是非一度見ておきたい。
梅雨も明けて天候も良くなったこの日、山頂目指して登山(?)に挑戦。
子どもの頃、学校の遠足や部活で登った事があるが、今の体力で、
しかも当ても無く登って、果たしてオオキンレイカは見つかるのか・・・。
西国二十九番札所の松尾寺までは車で行けるが、
ここから先は自分の足だけが頼り。
午前8時20分、無事発見できる事を祈願していざ出発。
本堂横の太鼓橋をくぐると登山道の入り口。
竹薮の間を通り抜け、標識に従って歩を進める。
標高差400m余りが1800mとは・・・かなりの急勾配のようです。
緩やかな山道が終わるあたりに鳥居がある。
山頂の青葉神社の参道でもあるようですが、急に険しい山道が始まる。
突然現われた崖のような登山道には、太いロープが設置されている。
カメラ片手にハイキング気分では無理のようです。
ジグザグの山道を直線で登る強者がいるのか、こんな標識もあちこちに・・・
近道が出来そうであっても、とても登れる状況では無い。
所々に設置された海抜表示の看板。
坂がきついのか、見る度に予想以上に数値が大きくなっていく。
殆ど崖のような登山道である。
あちこちに太いロープや鉄製の梯子階段が用意されているが、
子どもの頃は無かったような気もする・・・どうやって登ったのか記憶が無い。
登り始めて1時間が経過。
早い人は1時間以内で登るそうであるが・・・まだまだ山頂は遠い。
小休止を兼ねた道端の花々との語らいの時がだんだんと長くなる。
特に、黄色い花はオオキンレイカではないかと近寄って確かめる。
突然大きな岩陰に火山岩を積み上げた石灯籠と、完全防護の祠が出現。
どうやら山頂に近いようである。
木々の間からかすかに見えた下界の景色が全く見えなくなった。
霧というより、山頂付近を覆う雲の中に入ったようです。
およそ1時間半を要してやっと西峰の山頂に到着。
国土地理院の地図によると標高692m。
東峰の山頂よりわずか1m低いこの西峰が京都府と福井県の県境のようである。
登頂記念の落書き帳が何冊も置いてあった。
青葉神社の社殿が山小屋としても利用されているようです。
雲が切れると青葉山北側、高浜町内浦湾が望めます。
登山道の途中でいとも簡単に追い抜いて行った長いコンパスの外人さんが、
眼下に広がる景色をカメラに収めていた。
雲間からの景色を楽しみながら、しばし山頂で寛ぐ。
山頂からの眺望は・・・やはり空気の澄んだ秋のほうがいいようです。
視界が良くなったり、悪くなったりの繰り返しで中々澄んだ景色にならない。
それほど厚くない雲が次々と押し寄せているようである。
山頂付近には多くの蝶が舞っていた。
木々に沿って飛んで来たけれど山頂まで来てしまって目標が無くなったのか、
山頂付近にしか咲いて無いオニユリがお目当てなのか・・・
相手をしてくれたのはキアゲハだけですが、
クロアゲハやヒョウモンチョウが乱舞してました。
岩場に小さなピンク色の花が張り付くように群生している。
何だか解からないし、小さくて写しにくいので1枚だけ・・・
帰宅後参考までに調べてみたら・・・イブキジャコウソウのようでした・・・汗。
10cm程の背丈ですが草ではなくて木だとか、しっかり写さなかったのが悔やまれる。
周辺を散策すると言っても、クマザサが茂っていて何処が道やら。
何度もヘビに出くわしたが、熊が出てこない事を祈るのみである。
崖道を足元を確認しながら進んでいると・・・小さな黄色い花が無数に散っている。
崖の上を見上げると、目的のオオキンレイカを発見!!
高い崖の中ほど、岩に張り付くように群生している。
少し離れているので、かついできた三脚を取り出してカメラを固定。
山頂からの強い吹き降ろしの風に耐えているのか、横向きに咲いている。
ズームで寄ってみると。なにやら動くものが・・・。
オミナエシがお気に入りだという渡り蝶のアサギマダラも発見。
オオキンレイカもオミナエシ科の花、当然かも知れませんが。
でもこんな所で出会えるとは、
ヒラヒラと羽ばたく姿は、「オオキンレイカ発見おめでとう!」
と、拍手を贈ってくれているようでした・・・勿論気のせい。
後方に舞鶴湾や東舞鶴の市街地もかすかに見えるのですが・・・。
山頂付近を2時間近く徘徊して、無事発見できたので、一目散に下山。
登るのに比べて下山ははるかに楽チン、と思っていたが・・・
全体重に加速度を加えた重みが、両膝を交互に襲う。
下山にも1時間以上かかり、ふもとの松尾寺に戻ったのは午後1時過ぎであった。
門前のそば屋さん「流々亭」にて、膝をのばして全身の疲労を癒す。
ほどよく飾られた民芸調のお店で、名物の蕎麦と青葉山アイスで空腹を満たす。
無事に目的を達成できたという満足感に浸っていると、
かすかな疲労感も逆に心地よく感じられてきた。
平成19年 7月 27日 青葉山登にて
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